家を読む
家を読む
私は現地調査の際によく床下に潜ります。
それは「家を読む」為です。
当社では「調湿リフォーム」をリフォームの際の大切なポイントにしています。
それは、家にとって一番の問題は湿気だろうと考えているからです。
木で出来た家にとって一番の大敵は水分です。
適正な状態を超えた水分は気を腐らせます。
そしてカビの原因になります。
カビは当然アレルギーなどの健康被害の原因になります。
カビが出た時など、いわゆる水取り剤を置いたりするかと思います。
しかし、この水取り剤、ほとんど効果は無いと考えています。
なぜなら、なぜ湿気が多いのかという根本の対策にアプローチをするものではないからです。
湿気の根本対策を取らない限り水取り剤に頼る事になります。
湿気は補充され続け、水取り剤を交換し続ける事になければなりません。
ではその湿気はどこから来るのだろうか?
と考えてみる事が必要です。
「家を読む」
と言うのはその想像力を働かせることです。
先日、ある専門誌にその事で記事を書かせて頂きました。
版権の関係から直接載せる事は出来ないですが、一部をご紹介します。
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○建物を読む視点
私が湿気の問題に具体的に悩まされている現場に立ち会う際に気を付けているのは、
その湿気の根本の原因は何か、そして湿気は建物のどこから入っているかをまず探す事である。
その為に、まず家の中を見るよりも家の外を観察する。
地形などの影響で建物が水の通り道になっていないか、
海風など湿気のある風を受ける地域か、建物の向きは風の影響を受けているのかどうか、
雨水の処理はどのように行われているのか、などである。
建物の建つ周辺環境を掴んでから、次に家の床下に潜って温度や湿度を測定して家の床下環境を調査する。
室内は暖房や冷房、除湿など空調で環境が変えられるが、コントロール出来ない床下の環境はその土地の固有条件を映し出す。
土地の固有条件を読み取る事が建物の環境改善の第一歩であると考えている。
例えば、周辺の地盤の地下水位が高い場合には、湿気対策を行う前に、家周辺の地盤改良の為に暗渠排水工事を行う事もある。
調湿材での対処療法的なコントロールをするだけでは不十分なのである。
○これからの展望
国の中古住宅流通の促進の後押しもあり、築20年から30年の中古住宅をリフォームして住みたいというお問い合わせが増えている。
その際にはほとんどの場合断熱リフォーム工事が必要になるが、
近年になって窓や断熱材の性能が上がり種類も増えて施工も改善されており、
寒さ対策の断熱リフォーム工事は選択肢が増えたように感じる。
一方で湿度をコントロールする調湿リフォームは断熱リフォームに比べて耳にする事が少ない。
しかしながら、結露対策を考えると、断熱リフォームと調湿リフォームは北国のリフォームではセットで考えるべきであり、
家を長持ちさせ、人が心地よい室内環境をつくる為に欠かせない両輪なのである。
私達はより地域を理解しこの地域に適した提案を行い、
この地域の住む人に価値ある住宅再生を今後も行って行きたいと考えている。
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とかなり大真面目に書きました。
リフォームは単純に取り換え工事だけではなく、家を今後も生かして行く事になるわけですから、
実はとても難しい仕事だと思います。
私の建築の恩師は古民家再生をされている方で、
自然の力を読み取る事を教えて頂きました。
今と違って電力が発達する前は、自然エネルギーをいかに活用するかで人々は暮らしてきたわけです。
日本の家屋は高温多湿 低温乾燥の四季を繰り返す厳しい条件で成立しています。
たかがリフォームですが、その点を見極めて家の再生に取り組みたいと思います。
お客様の立場に立って考える事。簡単な様で難しいです。お家のお困りごとを理解して、最後の最後まで考え抜き、手をつくす。この人と出会えて良かったと感じて頂き、一生のお付き合いができるよう心掛けています。
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