断熱リフォーム
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1断熱リフォームの必要性
家の断熱がしっかりとされていないとヒートショックなど深刻な事故の危険性があります。ヒートショックとは暖かい場所から寒い場所への移動など、大きな温度差のある部屋を行き来する際に体が対応できず不具合を生じる事です。急激な温度差は血圧の急上昇や急降下を引き起こし、心臓や脳に負担がかかります。
断熱工事の際に当社では床下断熱に特に力を入れています。体は接している床から寒さを感じるので、床下断熱を行う事が最も効果があると考えます。当社では加えて床下の湿気対策を同時に行う床下調湿工事を行っています。
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2断熱工事の選び方
断熱工事を調べると様々な用語が出てきます。外断熱・内断熱などの断熱工法、グラスウール・ロックウール・セルロースファイバー・スタイロフォーム・発泡ウレタンフォームなどの断熱材の種類、それらに関する特徴やコストなどです。
それぞれの工法と種類には善し悪しがあるのですが、大切な事はこの工法が一番、この断熱材が一番という順位づけではなく、場所に適した工法と断熱材を適切に使うという事です。もちろんコストも大切な要素です。
例えば袋入りグラスウールは片面に防湿層がついています。工事の際にはこの防湿層を室内側に向け、間柱などの室内面に向けて止めるのが正しい工事方法です。しかしながら、防湿層のフィルムを間柱の中に折り曲げて止めてしまう大工さんもいます。その方法での工事が早いからなのですが、これでは防湿層が出来ず壁内結露の原因になります。 -
3断熱リフォームが結露を引き起こす
断熱リフォーム工事を行うと、より結露が発生するケースがあります。結露は温度差の大きい場所で発生するのですが、断熱リフォームを行うと、リフォーム工事をした場所としていない場所での温度差が大きくなるからです。断熱リフォームをしてない場所を断熱欠損と言いますが、計画段階で断熱欠損が生じないようにする必要があります。
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4リフォーム現場で出会う結露
リフォームでは築年数20年から30年程度の建物を扱うケースが多く、解体時に結露が原因で建物が受けたダメージを目にすることがしばしばあります
窓の結露
築30年程度の住宅の窓は、ガラスは単板ガラスでサッシはアルミ製が多く、室内で暖房をすると外気で冷やされた窓のガラスとアルミサッシが露点温度以下になり表面に結露します。結露の状態が続くと、結露水が窓枠だけではなく、窓の下地まで侵入し腐らせることがあります。
床下結露
床下結露で断熱材が腐ってしまっています
床下に湿気を多く含んだ空気が入り、床下のコンクリート基礎や土台など冷えた表面に結露するもの。やませが吹くと特に湿度が高い外気が床下に流入し結露します。写真の事例は6月に現地調査を行った際の事例だが、水抜栓から床下を触ると床下断熱材が中まで濡れるほど結露しており、その周辺の断熱材の傷みが激しく、断熱材の表面シートが腐って垂れ下がっていました。床はカビの発生が見られます。
壁内結露
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壁内結露で壁内の桟が腐っています。
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断熱材の厚みが足りません。
壁内でも結露は発生します。断熱材が内壁にしっかりと充填されて、かつ内壁とぴったりと接していれば問題は起きないのですが、築年数による断熱材のヘタレや新築時の断熱工事の粗さなどによって壁内の断熱材の間に隙間が生じると、そこに床下から入った空気が壁内を通り天井へ移動します。
写真の事例は、リフォームの際に解体を行った際の事例です。外壁下地のベニヤ板だけではなく、壁構造の格子組の下地まで腐っていました。当初雨漏りも疑いましたが、広範囲に下地が腐っている状況から壁内結露と判断しました。壁内に充てんされていたグラスウールの厚みは50mmのものであったが壁の厚みは70mm程度あり、壁内に空気が流入する状態となっていました。
5対処方法
床下環境の改善には珪藻土100%の床下調質材を用いています。
これらの事例から、断熱工事は湿気対策(結露対策)とセットで行うべきと考えます。温度対策のために断熱材を入れると、断熱工事を行った場所と行っていない場所(断熱欠損)の温度差が生じて結露を起こすからです。結露は建物へのダメージだけではなく、カビを発生させ健康被害の原因にもなります。
当社では結露の問題は珪藻土を材料にした調湿建材を用いて解決しています。 珪藻土は多孔質(穴が多い)の材料であり、特に細孔サイズが2~50ナノメートルの「メソポア」の珪藻土は、人が心地よい湿度40~70%を基準にして余分な湿気を吸い、乾燥時には放出する吸湿・放湿機能に優れています。 屋内壁や天井の塗り壁として珪藻土用いて室内の湿度を調整する、また、床下環境の改善には珪藻土100%の床下調質材を用いています。
工事後にお住まいの方から頂いた声
真冬は床が冷たくて足の指先が痛いほどだったが、断熱リフォームを行った後は、かなり軽減された。
- 暖房の効きがとても良くなった
- 暖部屋のカビ臭い臭いが無くなった、
- 暖部屋のじめっとした感じが無くなった
- 暖二階の部屋の結露が無くなった。
など、良好な結果でご好評を頂いています。
耐震リフォーム
1耐震リフォームの基本
建物の耐震性能は築年数で大きく分類されます。
昭和56年以前の家
旧耐震基準 かなりの耐震リフォームを考えた方が良い
昭和57年以降の家
新耐震基準 耐震調査の結果では適度な補強で良い場合あり
建物の耐震性能は築年数で大きく分類されます。
壁量が多いと丈夫になるのですが、ドアや窓などの開口部(かいこうぶ)が少ないと不便な家になってしまいます。そこで、壁に筋交を入れたり柱などを耐震金物で補強する事で壁の強さを2倍や3倍に強化して開口部が作れるようにします。
補強の為筋交いを新たに入れる
耐震金物
筋交や耐震金物は壁量を増やすために設置する
建物の耐震性能は建物の壁の量が多ければ強くなります。加えて、家の重心(バランス)が家の中心に近い方が揺れに強くなります。
基礎の状態で耐震性能が変わる
基礎には様々な種類がありますが大きく分けて布基礎とべた基礎に分かれます。リフォームする年代の家は布基礎がほとんどです。
- 布基礎 一般的な基礎で通常の地盤に用いられる
べた基礎 布基礎の間にコンクリートを流し込み床面全体で建物を支える
なお、布基礎をさらに強くするために - 杭基礎―布基礎の底に杭を入れて固い地盤まで届かせて支える方法も用いられます。
問題は基礎の割れや沈みが起きている場合で、その場合は基礎の補強や沈下修正工事を行います。
基礎が家を支えているので家本体の構造がいくらしっかりしていても基礎が痛んでいれば耐震リフォームの効果はほとんどありません。
- 布基礎 一般的な基礎で通常の地盤に用いられる
2耐震診断と耐震リフォームの提案
床下での耐震診断の様子
家の耐震性能を判断する為に行う調査が耐震診断です。 家の間取り、材質、筋交いの位置、金物の使用などを調査します。それらを耐震診断ソフ トを使って上部構造評点を判定します。 評点が1.0に満たない場合は1.0に近づけるように耐震補強リフォームのプランを作成します。
3断耐震性能とは?
地震で実際に被害を受ける家とは
例えば過去30年において、八戸市は主な震度5以上の地震を下記のように経験しています。
- 1994年三陸はるか沖地震 震度6
- 2003年2003十勝沖地震 震度6弱
- 2008年岩手県沿岸地震 震度6弱
- 2011年東日本大震災 震度5強
- 2011年東日本大震災余震 震度5強
では果たして震度6強の地震が起きた際に、家が実際に倒壊する危険がどれほどあるのかと考えれば、その可能性は少ないと考えています。耐震性能が高い事とは大規模な地震があっても住み続けられる家という意味ではない
東日本大震災での震度6強でも倒壊を免れた家
耐震性が高いという事は「地震が来ても倒壊しない、そのまま問題なく住み続けられる」とお思いになっているかもしれません。 しかし実際には耐震性能「大規模の地震(震度6強~7)で命を奪うような倒壊や崩壊をしない」という意味なのです。つまり、命を守る性能であってそのまま住み続けられるという事ではありません。 ちなみに東日本大震災で震度6強の震度があった須賀川市では、全倒壊して命が奪われた住宅は1軒もありませんでした。かなり被害を受けている家でも倒壊はしていません。しかしながら、地盤が流れて全壊認定に至った住宅はかなりありました。(流れているだけで倒壊はしていません)
4インスペクションや耐震診断の精度
リノベーションの際にはインスペクション(既存住宅調査)を行う事が提案されています。 また、宅建業法の改正とともにインスペクションが制度化されました。 インスペクションでは、基礎から上部構造まで家の調査を行うのですが、建物の劣化状況の確認が主な目的で、非破壊で足場を作らずに目視できる範囲が対象となります。床下や小屋裏は点検口から除く程度で詳細な調査と言えるか疑問です。 インスペクションと比較されるものに耐震診断がありますが、詳細な耐震診断の為には、筋交いの位置、柱の太さ、など床下や小屋裏に潜ってみなければわからない本格的な調査が必要となり時間もかかります。 インスペクションも耐震診断もしっかり行えば現地調査を複数人(安全の為)で1日がかり、調査報告書をまとめる為にも日数がかかり、とても無料で行えるものではありません。 したがって、リフォーム見積の為の無料調査レベルでは家の本当の状態はまだ分からないというのが現実です。 また、インスペクションの資格は建築士を保有している事が条件であり、インスペクター(資格保有者)ではないスタッフによる調査はインスペクションとは言えません。耐震診断を行う耐震診断士についても、やはり建築士しか取得できません。したがって、インスペクションにせよ耐震診断にせよ、建築士による専門的診断の位置づけになりますが、調査に建築士が同行していなければ、それは調査の精度が保証されているものとは言えません。
5現実に沿った耐震リフォームの提案
実際の地震被害がどのように起こるかは複雑な要因があります。
例えば地盤が流れてしまっては建物が基礎ごと移動して全壊となります。2016年の熊本地震では震度7が2回連続するというこれまでにない出来事が発生し、新耐震基準の建物の多くも全倒壊の被害を受けました。
したがって、耐震リフォームで上部構造評点1.0を目指す提案をして工事費をかけたとしても、地震で倒壊せずに済み続けられる家になるという保証は出来ないのです。
現実的な対応として、明らかに弱いところは耐震性能を上げるために筋交を入れる、耐震金物を入れる、などの耐震補強を行う事が重要です。
6耐震リフォームは家全体や周辺を総合的に判断する
地盤改良の暗渠(あんきょ)工事も耐震には有効
建物の上部構造を上げる事だけを見るのではなく、地盤や基礎の補強など、家全体や周辺土地の状況まで確認した上で、バランスの取れた耐震リフォームのご提案をする事が大切と思います。それにより結果として家全体の耐震性能は向上します。
例えば、家の周りに普段から雨が溜まりやすく地盤が緩くなっている場合には、地震で液状化現象が発生する可能性があります。その場合は暗渠(あんきょ)などの排水路を家の周りに整備する事で地盤に含まれる水が少なくなり、地盤がしっかりする事で耐震的には向上するというご提案も耐震補強の提案としてあり得ます。
7不陸調整工事
1)不同沈下について
不同沈下
建物が傾いてしまう事を不同沈下といいます。原因としては地盤に水が浸透して柔らかくなり、建物の自重でのバランスが取れなくなり不規則に沈下して傾いてしまうものです。(①不同沈下)
・雨水排水の垂れ流しによる地盤軟弱化
・生活排水の浸透桝が建物に近接している
・地震により地盤が液状化する
などの理由で軟弱地盤が生じて傾いてしまいます。
2)不同沈下が及ぼす問題
建物は年数が経ってくると少なからず傾きがあるのが普通ですが、建物内で明らかに傾きを感じるほどの状態であれば様々な問題が生じてきます。 ・健康面の問題 建物の傾きは人の平衡感覚のバランスを崩し、頭痛やめまい、吐き気や肩こりなどを生じさせることになります。 ・耐震面の問題 建物が傾いた状態では地震の揺れを吸収しやすく耐震面で問題が生じます。
3)不同沈下した建物を直すのが不陸調整工事
リノベーションなど家の大型リフォームをお考えの際に建物の傾きがある場合は、傾きを調整する不陸調整工事を行う事をお勧めします。(リフォームを行わない場合でも不陸調整工事のみ行う事も可能です)
不陸調整工事の概要
不陸調整工事とは、不同沈下した建物を地面から垂直に戻す工事です。
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1 設備配管切り回し
給水や排水、ガス管などの配管を切断して自在管を挟みます。
建物が正しく垂直になっても配管はそのままとなりますので、伸びたりねじれたりしてしまうからです。 2 土台揚げの事前準備
アンカーボルトを緩める、ジャッキを入れる場所を作る、サッシなどねじれる場所を緩めておくなどを行います。3 土台揚げ
基礎と土台の間にジャッキを入れ、土台を持ち上げて家を水平にします。
不陸調整工事のハイライトです。家はこの段階で水平になりますが、ただ水平にするのではなく、年月で生じている建物のゆがみを調整しながら水平にします。-
4 調整土台
基礎と土台の間に生じた隙間を基礎パッキンやモルタル、調整土台などで埋めます。調整土台はより耐震的には有利になります。 5基礎緊結
アンカーボルトの再取り付け、羽子板ボルトなどでの補強などを行います。6 仕上げ
基礎の外からモルタル仕上げを行います。
4)後打ち杭
セメントモルタル
後打ち杭
基礎を支える地盤が軟弱なため、再沈下が予想される場合は後打ち杭工事を行います。
既存の基礎の下に鋼製杭を打ち込み固い地盤まで打ち込みます。後打ち杭が基礎を支える事で再沈下を防止します。地盤を深く掘る為、杭を埋める際にはセメントモルタルを流し込みして地盤改良をする場合もあります。